第3話・ラビット、あせる 

[前回までのあらすじ]
 大雨の中、刑務所ツアーから帰ってきたラビット。
 今日の出来事を話したい彼は隣の部屋の住人海ちゃんの部屋に。
 しかし「まねかねざる客」がきた海ちゃんは不機嫌になっていた。
 その海ちゃんの怒りが頂点に達し・・・そして。

第3話 ラビット、あせる

「・・・でさぁ。ほんと頭にきたのさ」
 永遠と今日の愚痴を話し続けるラビット。
(自業自得だろーが) 
 そう思ったが、無視するかのように黙々とゲームをする海ちゃん。
「ああ、疲れたからもう寝るー」
 とラビはあくびをし始めた。
「さっさと部屋で寝てなさい!」
 と海ちゃんが言った時、彼は何を血迷ったか、海ちゃんの部屋のベットに潜り込んだ。
「おい!貴様の部屋で寝ろ!そこで寝るな!」
「おやすみ~」
「おやすみじゃねーよ!」
 海ちゃんの言うことも聞かずにベットで寝てしまった。
「この野郎はー!」
 さすがの海ちゃんも彼の行動に堪忍袋の緒が切れた。
 すかさずラビットの携帯を取り出した。
「いいか!そこから離れないと誰かに電話するぞ!」
 海ちゃんは一度脅しをかけた。
 ・・・しかしラビットは沈黙している。
 とその時
--ピッ・・・プププ--
 海ちゃんはボタンを押した。
「ん?何の音だ」
 さすがにラビットもこの音には反応した。
 と同時に海ちゃんの携帯が鳴り出した。
「な~んだ。うるさいぞ、海」
 どうやらラビットは海ちゃんが誰かに電話する気がないと思っているらしい。
「いいかげんにしないと神奈川県の女性に掛けるぞ!」
 海ちゃんは最後の通告をした。
 ちなみに、神奈川県の女性とは、千葉在住の頃にラビが片思いしていた相手で、今は大学の関係で神奈川に住んでいる。
 ラビは今でも神奈川の女性の事を想っていたのであった。
 その一途な気持ちの割には、色んな女性に好意をもつ、よく分からないラビットの性格である。
「どうせ掛けれないんだから」 
 この一言に海ちゃんのリミットが外れた。
 リミットブレイクである。
--ピッ・・・プププ--
 海ちゃんは誰かに電話した。
--プルルル、プルルル・・・--
「もしもし?」
 女性の声で誰かが電話にでた。
「ん!!」
 その声にラビットはすかさず反応した。
「あ、もしもし、私くし静岡の海という者ですが・・・」
 海ちゃんが誰かと話し始めた。
「おい!誰に電話してんだ!」
 そういってラビットは海ちゃんから物凄い剣幕と勢いで電話を取り返した。
 実は海ちゃんは本当に神奈川県の人に電話したのである。
 ラビットはかなり焦りながら彼女と話していた。
「うん、じゃそういうことで」
 すぐにラビットは電話を切った。

―その後―

 おかげでかなり目が覚めてしまったラビットは、おとなしく自分の部屋に戻っていった。
 海ちゃんもその後眠りにつき、平和な時間がおとずれたのであった。

                              
[次回予告]
 再び海ちゃんの部屋に来て語りだすラビット。
 しかし、ラビットからは人とは思えないような発言のオンパレード。
 「お前は疑惑のデパートか」と海ちゃんを思わせたその発言の真意とは?
 次回 第4話「ラビット、人の道を外れる(外道篇)」にご期待下さい

                                    ※この物語は事実を元にしたノンフィクションです。

             総監督 海ちゃん


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